日々公開銘柄とは?
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普段、あまり人気のない銘柄が、突如値を上げだして、ストップ高になると言うことはよくある。
たとえば今までずっと赤字だった企業が黒字に転換しそうな気配を見せたり、新しいビジネスを始めると報道されると、実際には業績が上がっていなくても、株価は急騰して、値上がり率ランキングに載る。
そして値上がり率ランキングに載ると、デイトレーダーたちが集まってきて、普段閑散としている取引量が、急に何十倍にも膨らむ。
日足チャートも狼煙が上がっているような、もの凄く長い陽線が立って、そこからデイトレーダーたちの、激しい攻防戦が数日にわたって繰り広げられるわけだ。
突如狼煙が上がる日足チャート
ところがこういう形の株価急騰は、一般投資家にとってリスクがある。
というのも特定のグループ(仕手筋)が大量買い付けして、人為的に株価をつり上げている可能性もあるからだ。
仕手筋は少しずつ株を買い集め、一定の株数が集まったら、一気に大量の買いを入れて株価をつり上げて注目を引く。
そしてその銘柄の売買が活発になって、十分に株価が上がったら、そこで買い集めていた株をドサッと売って儲けるわけだ。
なのでこういう風に突然株価が大幅上昇し、取引高が急激に膨らんだ場合、東証は売買が異常・過熱しすぎだと見なして、様々な沈静化策を打ち出す。
その第一歩は、信用取引の残高情報を、毎日発表することだで、これが「日々公開銘柄」指定だ。
委託保証金率の引き上げで、大暴落?
株売買が過熱化すると、急激な株価上昇や、暴落が起こりやすい。
そのため、証券取引所は、過熱化している銘柄の売買に注意を促す。
その第一が「日々公開銘柄」の指定だ。
日々公開銘柄というのは、信用取引の残高を毎日発表するということだ。
信用取引で株を売ったり買ったりした場合、半年以内に反対売買を行なわないといけない。
つまり信用買いが増えれば増えるほど、近い将来の売り注文が溜まっていくわけで、これが一気に出されたら暴落が起こってしまう。
なので売買が過熱化している銘柄の信用残を、毎日公表することで、下落リスクを知らせてくれるわけだ。
しかしこれで売買の加熱が収まらない場合は、増担保規制(ぞうたんぽきせい:増し担)と言って、信用取引の委託保証金率を引き上げて、強制的に信用取引の売買を減らす。
信用取引を行うには、30%以上の保証金が必要なのだが、この保証金率を引き上げて、信用取引を制限するわけだ。
第一段階では、保証金率を30%から50%に引き上げる。
つまり30万円以上あれば100万円分の信用取引を行えたところを、50万円以上ないと100万円分の取引ができなくするのだ。
それでも過熱化が収まらない場合はさらに増し担、保証金率を50%から70%に引き上げ、それでもダメなら、信用取引自体を停止する。
これによって、売買の資金を減らして過熱化を止めるわけだが、買いが減って売りが増えてしまうので、株価は当然下がる。
つまり委託保証金率の引き上げがあると、買い板が何割か薄くなって売りが増える。
そして買い板が薄くなっているところに、成り行き売りが大量に出ると、一気に株価が下がり、その影響で逆指し値の売り注文が殺到して、ズドーンと下がるわけだ。