厚い買い注文は、信頼できるか
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買い注文の板が、物凄く厚いときがある。
東証一部の人気銘柄なら、1円きざみの「呼び値」に、それぞれ十万株単位の買い注文が並ぶ。
東証一部銘柄の板情報の例 日本通信
日本通信9424のある日の板情報の例。
こういう感じに、十万株・二十万株・三十万株といった売買注文が並ぶ。
一方、デイトレ向きの一日の値幅が大きな銘柄では、こんなに分厚い買い注文が並ぶことは、滅多にない。
殆どの新興銘柄が、こんな感じの板情報になる。
一般的なデイトレ向き新興株の板情報の例
一般的な新興市場株の板情報は、数千株とか数万株くらいの売買注文が並んでいて、これである程度、方向性が見える。
というのは、買い板が厚くて売り板が薄ければ、買いたい人が多いため、下値が堅くて上がりやすそう、と言う風に。
買い板が厚いところは、大口の投資家が、安ければ買いたいと思って注文を出しているので、買ってもあまり下がらないだろうと予想できるからだ。
実際、買い板が厚ければ、その上くらいに買い注文を出しても、リスクが少ないことが多いしね。
買い手だった大口さんが、売り手に回ると急落する。
ところが、買い板がいくら厚くても、あっと言う間に売り崩されることもある。
たとえば、上のような板の場合、180円以下に大きな買い注文が並んでいるので、180円以下にはならないと思って買う。
ところが、大口さんが売り始めたら、こんな買い注文、みるみるうちに売り崩されてしまう。
そして一旦、厚い買い板が売り崩されてしまうと、厚かったはずの買い注文がどんどん引っ込んでいって、そのあとはもう、ダラダラ下がるという展開になる。
何しろ、株価を支えるはずの大口さんの買い注文が引っ込んで、買い手不足になってしまうため、反発しようがないのだ。
その結果、分足チャートは、こんな感じになってしまう。
厚い買い板が売り崩された後の五分足チャートの例
分厚かった180円前後の買い板が、14時には売り崩されて、さらに下落してしまった例。
こういう風に、分厚い買い注文が売り崩されるケースは、株価が急騰した数日後だとか、三連休前の相場だとか、特定のケースに起こりやすい。
逆に言うと、普段は下値が堅くて安心して買いに入れるもんだから、うっかり逃げ損なって大損してしまうって事だ。
株価は需給で決まるし、買い手だった大口さんが、突如売り手に回るようなこともあるから、気をつけないとね。